窓の向こうに光の気配がしたかと思うと、
やがてアプリコットオレンジの太陽があらわれて、白壁の輪郭をなぞる。
ほんの数分のあいだに光彩は増していき、
透き通った黄金色へと融けていく。
遮るもののない光の束が、まっすぐに部屋の奥まで差し込んでくる。
わたしは一瞬、まぶたを閉じる。
眼裏に残光を感じてから、もう一度、ゆっくりと開く。
鼻から、あるいは全身の毛穴から、
この圧倒的な光の粒子を深く吸い込んでみると、
細胞の一つ一つに、またたく間に黄金の栄養が染み込んできて、
部屋全体が白光に満たされる。
光がわたしたちを導くスピードは、こんなにも速い。
あふれる光に呼応するように、窓の外ではセミが鳴き、
連鎖し、重なり合い、空と一体化して大気を激しく震わせる。
街が熱く、呼吸をはじめる。
鮮烈な光によって、等しくこの世界に生かされる。
胸に手を当て、じわりと感じる温かさだけが、いまのすべて。
ゆっくりと呼吸する。
遠くの空は、吸い込まれそうなほどに、青い。